Pancreatic diseases膵臓疾患の治療

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2022.03.02

肝胆膵外科

膵臓疾患の治療

膵臓と膵切除

膵臓は胃の背中側に位置する横長でなすび型の臓器で、「外分泌」と「内分泌」の機能があります。「外分泌機能」として、1日800-1000mlの膵液を分泌しています。膵液には多数の消化酵素が含まれており、膵管を通じて十二指腸に排出され、食物の消化吸収に役立っています。「内分泌機能」として、インスリンなどのホルモンは膵から分泌され、血糖値の調整が行われています。

膵頭部は十二指腸、胆管とつながっているため、この領域(胆管、膵頭部、十二指腸、十二指腸乳頭部)に発生した腫瘍などの切除には「膵頭十二指腸切除」が行われます。この手術は、消化器外科の分野で最も難易度の高い術式のひとつとされています。また、膵体尾部は後腹膜に固定され、尾部で脾臓と近接しています。この部位に発生した腫瘍に対しては「膵体尾部切除」が行われます。

膵臓癌(膵頭部癌、膵体尾部癌)

膵臓癌は早期発見が難しく、かつ進行の早い癌であることが知られています。そのため、初診時に発見された膵臓癌の約70%が、遠隔転移や局所進行により切除不能と判断されているのが現状です。残る30%の膵癌のなかでも、高度進行をきたしているものが少なくありません。当科では、それらの膵癌や局所の高度進行膵癌に対して積極的な治療を行っています。患者さんのご希望に応じて、術前化学療法(抗がん剤)を行ったうえで腫瘍を縮小させ、手術を行う計画が立てられます。また、膵癌では一般的に術後再発が少なくありません。術後再発率を低下させるために、一定期間の術後抗癌剤の内服が推奨されています。

膵切除の対象疾患

  1. 膵頭十二指腸切除の対象疾患
    1. 膵頭部癌
    2. 遠位胆管癌
    3. 十二指腸乳頭部癌
    4. 十二指腸癌
    5. 管内乳頭状粘液産生腫瘍(IPMN,IPMC)
    6. 膵神経内分泌腫瘍(PnNEN)
    7. その他の膵頭部領域疾患
  2. 膵体尾部切除の対象疾患
    1. 膵体部癌
    2. 膵尾部癌
    3. 膵管内乳頭状粘液産生腫瘍(IPMN,IPMC)
    4. 膵神経内分泌腫瘍(PnNEN)
    5. その他の膵尾部疾患

 

当院の膵切除について

当科での直近1年間の膵切除は90件以上、膵頭十二指腸切除症例数は60件を越えており、全国でも有数の手術症例数となっています。

膵頭十二指腸切除術

従来の膵頭十二指腸切除術では胃の1/3を切除しますが、当科ではSSPPD(胃の出口のみを切除)を採用し、術後の胃温存に取り組んでいます。膵頭部癌では、近接する重要な血管(門脈、肝動脈など)に浸潤するものも少なくありません。そのような腫瘍に対しては、積極的に門脈合併切除再建や動脈合併切除再建を行っております。逆に、血管合併切除を必要としない多くの病気で、過去に大きな上腹部手術を受けられていない患者さんに対しては、ロボット支援下膵頭十二指腸切除を行っています。また、当科ではさらに傷を少なくして、痛みや身体的負担を軽減させるReduced portによるロボット手術を行っており、これにより患者さんの術後の痛みを減らし、回復期間を短縮させる試みを行っております。

日本消化器外科学会 膵臓の病気 より引用

膵体尾部切除

他臓器の浸潤や血管浸潤のない膵体尾部癌や、良性の膵体尾部疾患に対しては、腹腔鏡下膵体尾部切除を基本とした治療計画を行っています。高度進行癌に対しては、化学療法を行ったうえで動脈・門脈合併切除などの積極的な手術を行っております。基本的に膵体尾部切除では、リンパ節郭清(リンパ節の切除)のために脾臓を合併切除しますが、リンパ節郭清必要としない病気に対しては、積極的に脾臓温存手術(腹腔鏡下)を行っています。ロボット支援下膵体尾部切除については、近日導入する予定です。

日本消化器外科学会 膵臓の病気 より引用

その他の膵切除

広範囲の膵臓に及ぶ腫瘍の場合、「膵全摘」が必要となることがあります。その場合は、インスリン分泌がなくなるため、インスリンの自己注射を行わなければなりません。
リンパ節郭清が不要な良性疾患で、膵臓の温存が可能な部位の病気では、「膵中央切除」や「膵腫瘍核出術」もおこなっています。

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